いつもの土曜の朝。






毎週の光景だった。






栞が起きてくるまでは。













「雪の想い」







「・・・・・・・・・・はい?」
「いや、だから雪合戦は雪合戦だよ」

香里は栞の発言に少々理解が遅れたが、すぐさま思考を回復させた。

「ええ、雪合戦はわかるわ。で、何でいきなりやろうと?」
「だって、まだ一度もやってないから・・・」
「この間相沢君とやってたでしょ」
「いや皆でやりたいんです。私と祐一さんとお姉ちゃんで」
「ブッ!!」

栞のいきなりの発言に香里は飲んでいたコーヒーを吹き出してしまった。

「えう〜なんか変な事言った?」
「変だと言えば変だし、変でないと言えば変じゃないわね」
「はっきりしてよ〜」
「第一、少なくとも雪合戦は3人じゃできないわ。それに今日は私もやりたいことがあるの」
「う〜、じゃあいいもん!祐一さんと二人でやるもん!」

栞は頬を膨らませながら、電話のほうへ向かっていった。
少しすると誰かがでたらしく、栞が話し始めた。
会話の内容を聞いてみると、どうやら秋子さんがでたようであった。

(まだ寒い中呼び出されるとは、相沢君も災難ね)

香里は半分呆れながらテレビを見ていた。
しばらくするとルンルン気分で栞が戻ってきた。

「その様子だと相沢君はOKしてくれたみたいね」
「うん、即OKだったよ。それじゃ行ってくるね」
「ええ!?今から!?」
「うん、それじゃあ行ってきまーす」

栞はお気に入りのストールを羽織ると、楽しそうに駆けていった。

「朝っぱらから呼び出されるなんて、本当に災難ね」

呆れた顔でもう行ってしまった栞を見送ると、また視線をテレビに戻した。












「ふふっ、やっぱり予約しといて正解だったわね」

いまさっき買ったCDの袋を見ながら、思わず笑みを浮かべた。

「今回のアルバムは結構競争率高いとおもって予約に踏んでみたけど、案の定正解だったわね」

実際、開店寸前まではかなりの人が並んでいた。

「それじゃ、帰りますか」

他に用はないので、香里すぐ帰路についた。





「あら?」

ふと通りかかった公園を覗くと、そこには雪玉を投げ合う、二人の見慣れた人がいた。

「栞、相沢君・・・・・・・」








あまり長くない命だと言われ、たった一人の大切な妹に何もしてやらず逃げ出していた。

たが栞はそんなことを承知で同じ学校に入学し、そして相沢祐一と出会った。


(あの時、相沢君がいなかったら、私は一生後悔し続けただろう)


余命幾ばくもないのを知ってそれでも付き合い続けた彼が起こしたであろう奇跡。


(彼がいたから、栞は生きる事ができ、私は栞に謝ることができた)


(いままでずっとひどい事をしてきた罪を、今全て許して貰おうなんて思わない)


(ただ、あの子と一緒にいて、一緒に生きてあげることが一番の償いだと思うから)


(だから、私は・・・・)




香里は何かを決意したように一歩踏み出そうとすると、遠くから親友の声が聞こえてきた。

「香里ぃ!」
「名雪・・・」
「祐一、今雪合戦やってるんでしょ?」
「え?う、うん」
「じゃあさ、香里も一緒にやろうよ」
「・・・・・・・・・・・・・・うん!行こう!」

笑顔で頷くと、香里と名雪は二人の元へと駆けていった。

「香里、名雪」
「お姉ちゃん、名雪さん」
「やっほー、やりにきたよ」
「よし。これでメンバーは4人か。なら2対2だな」
「なら、私は祐一さんと一緒ですね」

栞が祐一の腕に抱き付きながらさっさと離れてしまった。

「ああ、祐一持ってかれちゃった。こうなったら、香里!頑張ろう!」
「クスッ。ええ、頑張りましょう」

こうして始まった雪合戦。



10分後



「あ!祐一〜!」

しばらくやってると、公園の入り口に真琴と美汐がやってきた。

「何やってるの?」
「見ての通りだよ。雪合戦だ」
「じゃあ、真琴もやる〜」
「おう、やってけ。天野もこいよ〜!」
「あ、はい。それじゃ、遠慮無く」

二人は、そそくさと祐一の陣地に入った。

「あ、向こう4人になったお〜。これじゃこっちが不利だお〜」
「う〜ん、あ!川澄先輩、倉田先輩!」

香里が辺りをを見まわすと、運良く近くを歩いていた舞と佐祐理を呼んだ。

「あははー、皆さん楽しそうですね」
「倉田先輩、手伝ってください。負けたチームが勝ったチームに百花屋何か奢ることができますから」
「ちょっと待て、香里!そんなの聞いてないぞ!」

遠くから祐一が抗議を言っているが、香里達はあえて無視した。
ふと、舞が佐祐理の肩に手を置いた。

「舞?」
「佐祐理、頑張ろう。勝てれば百花屋で食べ放題」
「おい!俺はそこまで余裕は無いぞ!」

また抗議の声が聞こえてきたが、またもや無視した。

「あははーそれなら頑張りましょうか」




さらに10分後



「祐一く〜ん、何してるの?」

雪玉の飛び交う中、あゆもやってきた。

「おう、雪合戦だ。あゆ、お前も参加しろ」
「いいの?やった〜。ぼく頑張るよ」

あゆはすぐに雪玉を作って投げ出した。

「うにゅっ、向こうは5人になったお〜」
「と言っても近くに知り合いは・・・・・・」
「香里〜!」
「いたわ、一人だけね」
「何だよ、つれないな。俺も誘ってくれれば良かったのに」
「・・・・・・・・・・・・そうね、盾位にはなってくれるし」
「え、俺ってそんなもん?・・・・・・」
「相沢く〜ん!これからが本番よ〜!3回当たった人から抜けてって、全滅させたチームが勝ちよ〜!
さっきもいった通り、負けたチームは勝ったチームに百花屋で奢るんだからね〜!」
「おい、本当に待ってくれ!今月ホントにヤバイんだって!」
「それじゃあ、始め!!」

祐一の抗議を無視し、香里がおもいっきり叫ぶと、一斉に雪玉が飛び交い始めた。




















反省はしている











けど後悔はしない











自分に勇気を与えてくれた彼に











感謝している











だから私は、











これからずっと、











あの子と一緒の時間を楽しんでいきたい。











それが、私が今あの子にしてあげるべき事だと思うから。











「奇跡は」











「起こるものなのね。」


















ひと冬の











出来事だった。























誰も見ないあとがき


何なんでしょう、これは・・・・・

とりあえず、kanonSS初1作目は香里さんからでした。

中途半端なギャグと、中途半端なシリアス・・・・・・・

何とかならないんでしょうか・・・・・

・・・・・・・・・こんな事考えるなら次のSS考えます。

それでは。


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